Love people,Love coffee
¥3,000 税込
SOLD OUT
送料が別途¥500かかります。
Love people.Love Coffee -私達は逃げる権利がある-
このTシャツは、男子重量挙げのウガンダ選手のジュリアス・セチトレコ選手の着ていたTシャツを模したものである。そして、彼に敬意を表するものである。
私達は、苦しいことから逃げる権利がある。逃げ切れることができるか、できないかは問題ではない。逃げようとする、そのことを行うことが、私達にはできる。
オリンピックが行われる前のムードを覚えている。
もしかしたら、覚えていようとしているのかもしれない。あるいは、もう忘れてしまっていて、オリンピックの前の雰囲気、とかかれた書物をいま自分で書こうとしているのかもしれない。
ゆったりと、そして極めてなめらかに、開会式より前に始まっていたオリンピックの中、ひとつのニュースがあったのをおぼえている。
冒頭のセチトレコ選手が、選手村から逃亡した。
五輪のメンバーに選ばれず、「貧しい母国」に帰るのが嫌で、「トヨタがあるから」といった理由で名古屋を目指した、というニュースだった。
逃亡、という言葉にはネガティブなニュアンスが多分に含まれている。そして、多くの人が、セチトレコ選手に憐れみの目を向けたことを覚えている。それが、五輪以前の「ムード」のうちのひとつだ。
しかし同時に、「逃げたい」という気持ちを私は奨励したくなった。なぜなら、私自身、2020年の2月からずっと、「逃げたい」と考えていたからだ。
私は何から逃れたいのだろうか。何から逃げたいのだろうか。
―――――
これはTシャツのイントロダクションとして書いている文章だ。現在2021年9月10日。夏が終わろうとしている。
あなたの今年の夏は、何とともにあっただろうか。
―――――
こんなにも、人々の夏の拠り所が同じだった夏も、そうそうないだろう。そして、拠り所が同じだからといって、人々はそれを明確な思い出として共有できるわけではない。――つまり、拠り所が同じであればあるほど、人々は分裂をする。分断をしていく。
・この夏、私は、正しくあろうとすることから逃げたかった。
自分のなかの黒さを漂白することを求められているような気持ちになった。
苦しいのに、「俺が」苦しいと言えない感覚があった。自分の苦しさの原因を、世界に求めなければいけないような感覚があった。
自分のなかのどす黒い何かを、正しさという漂白剤に漬けこまないと、言葉にしてはいけないような息苦しさがあった。
・この夏、私は、連帯することから逃げたかった。
分断の対義語は「団結」でも「繋がり」でもない。連帯せよ、と世界は言う。しかし、連帯のその先にあるものはなんだったのか、1945年に学んだはずではなかったのか。
自分も分裂をした中のひとつなのだ。団結する。その結び目を探したくない。
・この夏、私は、自分のスタンスを明確にしたくなかった。
オリンピックに関してはきつくあたっているのに、フジロック開催に対してうなっている自分に嫌気が差した。
そして、フジロックの配信を見るのも、自分が引き裂かれるような感覚になった辛かった。
ツイッターを見る。何か大きなものを変えてやろう、あるいは変えなければいけない、変えようとしない人たちへの憎悪が渦巻いていた。毎日何かが、誰かが、非難の対象になっていて、それの元をたどって、苦しくなる。
―――――
このTシャツは、わたし達の同盟のひとつだ。
過ぎていこうとしている夏を架け橋としての、同盟のメディアだ。
わたしたちは対話ができる。
連帯などしなくても良い。もっと対話をして、辛かった夏から逃げ切る権利がある。
なにかに対して、なにも言わなくてもいいのだ。
何かを言っている人に憧れなくてもいいし、そのような人に嫌悪感を抱かなくていいし、距離を取る必要もないのだ。
自分が何かを言おうとする時に、自分のスタンスを明らかにしなくてもいいのだ。相手のスタンスを鑑みなくてもいいのだ。
―――――
ただ一つだけ逃げてはいけないことがある。それは、「確固たる持論」に逃げ込んではいけないということだ。
考え続けること。そして、考えながら逃げ続けること。
朝の一杯のコーヒーを愛するのと同じように、同じ感覚で、人々を愛し続けること。そこからは、絶対に逃げてはいけない。
―――――
この悲しい時間をなるべく早く過去にして、ちゃんと泣ける日が来ることを、今は願ってならない。
もはや使われなくなった言葉を、最後に綴ろう。
「落ち着いたら、コーヒーでも飲みに行こう」
モデル着用サイズ
male:172cm/S
female:158cm/XL
9/30までの受注生産、その一週間後に発送予定です。
-
送料・配送方法について
-
お支払い方法について
¥3,000 税込
SOLD OUT