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look back hoodie

¥5,500 税込

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「いま」を言葉にするのは難しい。
いま、とはいつだろうか。私はこの文章を2021年12月2日の19時に、吉祥寺のルノアールで書いている。これは間違いなく「いま」なのだろう。2階席なので、眼下を往来する人々の様子が見える。人々はマスクをして歩いている。見慣れた光景だ。見慣れてしまった光景だ。これは、2020年の3月に人々がマスクをつけ出したときから続く「いま」なのだろうか。いつ終わるとも思えないいまが続いている。
言葉にするのが難しいと言いつつも言葉にしたいという気持ちは強い。今とはどのような時代なのかということを言葉にしたいと、ずっと同じことを考えている。
そういう思いを持って書店に行くと、「いま」についての本が並んでいる。みんな私と同じように今を理解したいのだろう。この曖昧な時間、あるいは曖昧であり、いつか終わってほしいと願う時間に「いま」という区分が欲しいのだろう。

服を作る時にいつも考えていることがある。それは「これはメディアだ」ということだ。言葉や図案がそこにはあるが、そこには多数のいまが含まれるようにしている。服は残る。1年で捨てられてしまうかもしれないが、10年後にも誰かの手元にあるのかもしれない。少なくともこれが誰かに着られているその場、その時に、「いま」がそこに現れるようなものを作りたい。だから僕は基本的には言語に頼りつつも、頼りきれない部分をメディア=入れ物として、たまに服を作る。

今回のパーカーは、月曜日と金曜日、そして過去についての入れ物だ。私たちは月曜日と金曜日で区切られた時間を生きている。会社に勤めているからとか社会がそう規定しているからとかではなく、そういうふうにして連続してしまう時間を生きている。
区切られながら続いてる時間、分断されながらも進んでいく時間の中で、毎週何かが変わり、ニュースサイトを見るのが嫌になったり、でも今何が起こっているのかを知りたくなったりする。
そして「いま」に対して怒りたくなるときがある。でも怒りたくない。どうにかしたいのだ。月曜日が憂鬱でも金曜日はハッピーで、その繰り返しが単なる反復にならないように、生きていたいのだ。

悲しいことがあって、人がたくさん死んで、出口が見えない平日のような日々が続いていって、でもそれぞれの平日の中にも喜びはある。遊び呆けていたくもない。誰かから提示された"興ぜよ"と提示された土日のようなオリンピックで溜飲を下げたくない。感染者数が減ったことでノスタルジーの彼岸にある「かつての日常」を取り戻すような労力をはらいたくない。

なぜなら私たちの「いま」はわたしたちが月曜日と金曜日繰り返しの中で獲得したいまだからだ。私たちはマスクをしながらいまを過ごしている。やり過ごすのではなくただ「過ごす」ことによっていまを生きなければならない。
そういった今の私の願いが10年後にも残ることを祈ってこのパーカーを作った。

Model:石山蓮華(https://instagram.com/renge_ge?utm_medium=copy_link)


モデル身長:161cm
着用サイズ:M

※2021年12月19日までの完全受注生産、その後の発送となります。

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